benbowです。上海・無錫・蘇州の旅行記本編も書き終えたので、番外編をもうひとつ。海外旅行での必需品、ネットワーク環境についてのエントリです。電波の良し悪しだけではない、中国ならではの事情を踏まえた内容を書きますよ。
モバイル通信環境は海外旅行での必須アイテム
海外旅行でのモバイル通信環境の選択肢
海外旅行の際にコミュニケーション以外で困ることといえばトイレと通信環境なのは異論がないと思いますが、私の場合、前者は愛用しているPanasonicのハンディトワレ DL-P300がある程度解決してくれます。もうこれなしでは海外に行けない体になってしまうほどの逸品です。これについては機会があったら書こうかと思いますが、今回のエントリは後者についてです。
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通信環境はホテルに用意されていることも多いですが、有線だったり有料だったり、セキュリティ面に不安があったりと、使い勝手は良いとはいえません。そもそも外出先で使えないのは、慣れない土地を歩く海外旅行ではかなりの痛手になります。調べ物は(少なくとも私の場合は)インターネット依存度が高いですからね。
外出先でもインターネットが使いたい場合は、キャリアの国際データローミングサービス、モバイルWiFiレンタル、現地のSIM調達辺りが選択肢になります。それぞれメリットとデメリットがありますが、概ね以下のような感じでしょうか。
利用料金
高い: ローミング > モバイルWiFi > 現地SIM :安い
利用までの手間
少ない: ローミング < モバイルWiFi < 現地SIM :多い
国際データローミング・モバイルWiFiレンタル・現地SIMの特徴
キャリアが提供している国際データローミングサービスは手元の機材だけで事足りるので非常に手軽ですが、何しろ利用料が高いですね。3大キャリアともに概ね3,000円/日程度なので、数日間の旅行でもなかなかの出費になります。
一方、現地SIMは国にもよりますが、概ね利用料は安価です。海外旅行での利用はプリペイド式のSIMを選ぶことになるかと思いますが、購入やアクティベートなどの手間がかかることが面倒です。
ただ最近は購入できる場所が(Amazonなどのオンラインも含めて)増えているようですし、アクティベート不要なものもあるようなので、今後は主流になりそうな気もします。SIMフリーなスマートフォンなどを持っている前提にはなるので、コストパフォーマンスの良い機種を貼っておきますね。SIMフリー機なら旅行以外でもいわゆる格安SIMが使えるので、3大キャリアに暴利を貪られていると感じている方はこれを機に買っておくのも良いですよ。
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国際ローミングサービスと現地SIMの中間ぐらいに位置付けられるのがモバイルWiFiルータなどのレンタルサービス。私の場合、今までの海外旅行はほとんどこれを選択しています。料金も手頃で、今回の例で言えば1,200円/日程度。ただしこれは、LTEで大容量かつVPN付きのプランを選んでいるためで、通常のLTEプランであれば800円/日程度で済みます。
私だけではなく妻も一緒に利用するので、二人でこの料金と考えると現地SIMよりも安価な選択1かも知れませんね。
モバイルWiFiレンタルの比較ポイントは料金とトラブル対応
海外旅行で私がいつも利用しているモバイルWiFiレンタルサービスですが、有名なところでは次の3社のサービスでしょう。
私が利用したことがあるのはこれらのうちグローバルWiFiとグローバルデータの2つですが、サービスを選ぶ際のポイントは料金とサポートの2点だけです。最も重要と思いがちな通信品質については、結局のところモバイルルータで使っているSIMの通信サービスの品質によるところが大きいので、あまり参考にはなりません。訪れる国によって通信インフラの充実度も大きく違いますしね。
私は当初グローバルデータを利用していたんですが、2013年に発生した情報漏洩事故をきっかけにグローバルWiFiに切り替えました。
料金については旅行先の国にもよりますが、両社同じくらいの水準ですね。料金面では旅行先の国のプランに合わせて評価するのが良いと思います。
サービスについてはどの辺りのサービスの充実度を評価するかがポイントですが、私はトラブル対応の良さが重要と考えています。盗難や破損などへの対応については各社保証プランがありますが、グローバルWiFiとグローバルデータは100%保証が300円/日、80%保証が200円/日と横並び。Wi-Hoは50%保証で200円/日のようなので少し見劣りしますね。
私はこれまで盗難や破損といったトラブルには縁がありませんでしたが、現地で接続できないという致命的なトラブルにあったことがあります。グローバルWiFiでレンタルしたモバイルルータだったんですが、その際はホテルのWiFiに繋いでSkypeで問い合わせるという手段をとりました。ちなみに今はSkypeの替わりにLineを使っているようですが、問い合わせ手段が豊富なのは緊急の場合にはありがたいですね。
その時のトラブルの原因は機器の故障ではなくルータ側の初期設定内容によるものでしたが、サポートの対応は良かった印象があります。また、接続できなかった期間の料金は請求しないと先方から言ってくれた点も好印象。ということで、サポートの観点ではグローバルWiFiはお勧めですよ。
JCBグローバルWiFiがお得
私がグローバルWiFiを使っている理由のひとつにトラブル時のサポートが好印象だったことが上げられますが、その他にも理由があります。JCBカード会員向けに20%の割引が適用されるサービスがその理由です。
実はこのサービスは数年前まではゴールドカード限定だったんですが、最近は適用範囲が広がって一般カードも対象になっているようです。
サービス名称がJCBグローバルWiFiとなっているので、通常のサービスに割引が適用されるというよりも、通常より20%安価な別サービスといった位置付けなんだと思います。
ということで、海外旅行のお供にモバイルWiFiをレンタルする事が多い方は、JCBカードを一枚持っておくとお得ですよ。
中国でのインターネット利用に必須な金盾対策
立ちふさがる金盾の対抗策なしに自由は手に入らない
ここまでは海外旅行の際にはモバイルWiFiレンタルが良いよ、という内容でしたが、ここからは中国に特化した話です。
旅行先が中国の場合、悪名高き金盾が旅行者の前に立ちふさがります。金盾をご存じない方のために簡単に説明すると、中国国内でのインターネット通信の検閲を行うシステムの俗称が金盾です。別名(あるいは金盾全体の中のファイアウォール部分の俗称)としてのグレートファイアウォールの方が有名かも知れませんね。
この金盾があるおかげで、中国国内では中国の政治的に正しくない情報の多くが遮断されます。また、検閲の及ばない自由な発言ができるサイトも遮断の対象です。そのため、おなじみのGoogleのサービスや各種SNSなどが中国国内では使えません。何らかの金盾対策を行わない限り、中国旅行でのインターネット利用は「繋がるけど使えない」という悲しい状況になってしまいます。
金盾対策として最も簡単なのは、日本(など)の通信キャリアの国際データローミングサービスを使う方法です。国際データローミングは中国国内ではインターネット通信を行わず、ローミングで日本へ流してからインターネットに接続する形(らしいです。ローミングの仕組みはあまり詳しくないのでかじった程度の知識です)なので、インターネット上のプロトコルベースで通信を遮断する金盾は効力を発揮しないということでしょう。
とは言え、このエントリの冒頭で書いたように国際データローミングはそこそこ高額なので、モバイルWiFiレンタルを使う場合の方法も書いておきましょう。
モバイルWiFiレンタルにVPNオプションを付けてみた
モバイルWiFiレンタルの場合は、モバイルルータの先はインターネット通信になるので、金盾の威力をたっぷり味わうことができます。これに対抗するために使われる比較的メジャーな手法が、VPNサーバ経由での暗号化通信です。日本(など)のVPNサーバに接続することで、金盾から本来の接続先を含めた情報を見えないようにするという方法ですね。
グローバルWiFiでは中国向けのレンタルプランに「VPN付き」というオプションがあったので、今回はこのオプションを付けて申し込んでみました。受け取ったモバイルルータ一式セットに、VPNサーバ接続用のアカウント情報が記載された用紙が同梱される形での提供ですね。
VPNの設定はスマートフォンなどの自分の機器側で行います。この設定方法はどこのサービスでも同じだと思いますが、このオプションのVPN接続アカウントは「1アカウントにつき1台だけ接続可能」という制限事項が記載してありました。実際に制限されているかどうかは未確認ですが、私のように2人でモバイルルータを共用する場合は使い勝手が悪いですね。まあ元々モバイルWiFiレンタルプランは「お1人での利用を推奨」となっているので、その意味では理にかなっているとは思いますが。
実際に現地で使ってみましたが、結論としては「ストレスなく使えるレベルではないな」といった感想です。私の使い方としては、モバイルルータにAnkerPowerCoreを繋いで常時接続という形なんですが、モバイルルータが現地通信キャリア網に繋いでからしばらくは快適に利用できるものの、次第にVPNサーバに繋がらなくなってくるという現象が起こっていました。
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原因として考えられるのは…
- モバイルルータが常時起動かつ常時充電で熱などにより不安定になった
-
金盾が長時間の暗号化通信を行っているノードを監視して遮断している
…辺りが思い付きましたが、詳しく検証したわけではないので本当の原因は不明です。
とりあえずの対策としては、VPNサーバに繋がらなくなってきたら一旦モバイルルータの電源を落とし、少し待ってから(新しいIPが振られることを期待して)再起動してVPNサーバに再接続を試みる、というもの。これを試したら比較的接続できていたような気がします。必ず接続できたわけではなかった(と思う)ので、ほかの要素も関係しているのかも知れません。
セカイVPNを使ってみた
グローバルWiFiのVPNオプションには1アカウント制限があったので、他のVPN接続サービスも追加で探してみました。
今回使ってみたのはインターリンク社のセカイVPNです。有料のサービスですが、無料試用期間が最大2ヶ月とのことだったので、今回の旅行前に利用登録してみました。
セカイVPNは金盾対策の情報を調べている中でよく見かけるサービスで、中国国内から接続する日本のVPNサーバを増設したり、中国国内で接続できなくなった場合の対策が載っていたりと、中国からの接続について手厚い対応をしているサービスのようです。
実際に使ってみた感想としては、グローバルWiFiのVPNオプションと同程度の使用感といったところです。やはり接続時間の経過とともに繋がりにくくなったので、セカイVPNのサービス品質というよりも、金盾の威力の強大さによるところが要因なんだと思います。
ちなみにセカイVPNのFAQに「中国国内からの接続で繋がり難くなったら、割り当てられたIPを変更してみる」という対策が載っているので、モバイルルータの再起動という対策は正解だったのかも知れません。
正解は香港SIMでの国際データローミングだったらしい
利用料を考えなければ国際データローミングが金盾対策の最適解なんだよなあ、などと思いながら帰国後に少し調べていたら、香港SIMを使っての国際データローミングが安価で簡単、という情報がちらほら。Amazonでも買えるので入手は簡単、アクティベートも不要らしいのでこれが正解だったような気がしますね。
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金盾を実感して改めて思うこと
いやほんと、Googleサービスが使えないインターネットの無力感がすごかったです。恐るべし金盾、恐るべしGoogle。
- 二人での利用なら、SIMフリーのモバイルルータに現地SIMを差すというのが最も安価かも ↩
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